群青だより

10年、20年先の子どもたちの未来のために

遊びと学びとそれからスマホ

GIGAスクール構想について、「一律に」という工業化社会のコードから抜け出せない面があります。さぁみんなで一緒に使おう!っていう音頭から早く抜け出さないと子どもの頭と視力はどんどん悪くなるで!(なーんて)

 


大事なのは使いたい時に使いたい人が使えるかどうかなのだと思います。

 


昨年度から1人1台タブレットが導入され、社会の授業では使いたい時に使えるように、授業のあり方を転換しました。導入当初は皆が使っていましたが、慣れてくると、常時、使っているのはだいたい学級の3分の1くらいです。しかもその生徒がずっと使い続けているかというとそんなこともありません。一つのタブレットの動画をイヤホンを2人で共有して聞いていたり、3、4人で一緒に調べていたり、タブレットのデジタル教科書はあえて使わず紙ベースの教科書を好んで使っていたり、慣れ親しんだ分厚い辞書を使っている子がいたり、友だちに聞いた方が早いとか、友だちの説明の方がわかりやすいと言って友だちのところに教えてもらいに行ったり、いろいろでした。

 


結局は生徒にとって一番有用な学習ツールは友だちなのかもなぁとも感じました。そして教師の仕事はそういった緩やかな関わりの中で、勉強させることから遊び浸るの延長にある学び浸るに繋げる(変換させる)ことなのだなと強く思います。

 

タブレットの活用については(マイナス面は後述)、うまく活用すれば大きな可能性があると思います。

 

まず、宿題の概念をなくせるかなぁという期待があります。

 

生徒からすると、宿題=やらされるものというとふうに感じている人はとても多いです。でも学校現場では、先生によっては本当に多くの宿題を生徒に課します。そしてその見取りは、思考したかどうかではなく、提出したかどうかや、やってあるかどうかになっている場合も多そうです。だから生徒の中には答えを写して出す人もいます。結構多いんだろうなぁ。これは定期テスト前の提出物も同じです。(皆さんは子どもの頃どうでしたか?僕は中学時代そうでした。)ただの作業=学習になっている生徒はあまりにも多いです。(しかし保護者によっては宿題を出したほうが安心するようです。)

 

そんなこともあり、僕は基本的に宿題を出しません。そのかわり授業でとことん勝負するようにしたいと思っています。レポートやポートフォリオなどの提出に物についてもなるべく授業内で時間をとり完結させるようにしています。

 

「学び浸る」に関して、嬉しいことがありました。6月〜7月にかけて行った歴史的分野の授業で単元のまとめをいつものレポートではなく、「単元課題の答えを漫才にする」という課題を課しました。もちろんネタ作りとネタ合わせの時間は授業で十分に確保しました。


しかし生徒によっては、授業以外の時間でも、例えば、家で考えてきてもいいですか〜?という生徒や塾の先生、家族が一緒に作ってくれました!という生徒、休み時間に練習している生徒などいろんな方法で準備している生徒がいました。授業と家庭の学びの境がなくなっているような感覚を覚え嬉しい気持ちなりました。

 


そして生徒はこの過程でタブレットを本当に上手に活用していました。作ったネタ帳を写真に撮ったり、Wordやメモ機能に書いたりして、それをAir Drop機能で送り合って共有していました。

 


また、ペア同士で漫才の様子を動画で撮って、互いの漫才をダメ出しをし合ったり、笑いあったりしながら練習していたりもしました。これらはこちらが教えたことではありません。

 

 


先日SMAR理論というものを知りました。一例を示すとこんな感じです。

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「時間や空間にとらわれない」というところは今後、大きなポイントになるのかなぁとも思います。

 

 

今回、夏季休業中のタブレット自宅への持ち帰りに際して、YouTube、 Teamsのチャット機能などさまざまな機能に管理者からブロックがかかり規制されました。


実質持ち帰った生徒のほとんどが、オフラインになっており、箱を持ち帰っただけという状況のようです。今後、学校管理下で使える機能を家庭でも使えるようになると、学びの可能性がグン高まるのではないかと思います。

 


しかしそれと同時に、生徒指導上の問題や生徒への健康への影響など、(スマホ依存、SNS中毒の生徒は多いため)使う側も使わせる側も、使うことのメリットデメリットを理解したうえで活用していく必要があると思います。

 

 

p.s.マインドセットって重要ですよね。コロナ前は色付きや柄物のマスクを禁止している中学校がかなり多かったと思いますが、今そんなことしている学校なんてありません。みんないろいろなマスクをしていますよね。それと同じで、高校のように、スマホが持ち込み可になると逆に解決する問題も増えてくるのかもなんて思いました。少なくとも禁止で縛るのには限界があるから、正しい使い方を共に考えていくという方向性が大事だと思います。その上で、一律に強いるのではなく、使いたいときに使いたい人がというマインドを持つことが大事なのかなぁとも思います。