群青だより

10年、20年先の子どもたちの未来のために

たとえ行事がなくとも

今日涙を堪える出来事があった。

 

休み時間、ある女の子が僕に折り鶴の折り方を聞いてきた。生徒会行事で1人数枚の折り鶴を作成することになっていた。

 

その子は自分から、友だちの輪の中に入って行ったり、助けを求めたりすることを苦手としている子だった。

 

見ると手に持った折り紙はクシャクシャになり、何度も折っては開いてを繰り返したことが想像できた。本人なりに頑張って、それでも駄目だったのだと思う。

 

「いいよ〜どれどれ」と言いそうになりつつも、僕はその生徒に対して、「先生に聞かないで」と追い返した。冷たく感じたかもしれない。でももしそこで僕が手を貸せば、次もまた僕に助けを求めると思った。友だちの力を借りられるようになって欲しいと思ったし、きっと助けてくれる生徒がいると思った。

 

だから遠くからそれとなくぼんやりと見守った。

タブレットで調べて折ろうとしたがなかなかうまくいかない。紙はくしゃくしゃになって今にも泣きそうな顔をしている。もしかしたら近くの席の子もそれを分かった上で見守ってくれていたのかもしれない。

 

しばらくそんな状況が続いていたが、その子は恐る恐る後ろを向き、誰にとも言えない助けを求めた。精一杯の勇気を振り絞ったに違いない。そして、次の瞬間斜め後ろの席の子が「任せろ〜」と折り紙を受け取った。

 

その光景になんとも言えない感動が込み上げた。

自分から友だちに助けを求めた生徒とそれに清々しく応える生徒。そんな2人の心意気にグッとこみ上げてくるものがあった。

 

体育祭や合唱祭などの大きな行事がなくても、日々の日常の中に小さな感動がある。そんな日常を大事なしたい。