群青だより

10年、20年先の子どもたちの未来のために

信頼

川上未映子の「すべて真夜中の恋人たち」の中にこんな一節がある。

 『信頼…すきとか恋愛とか、愛とか、そういうところから出発するようなものじゃなくて、まずその人の仕事に対する姿勢…そこには、その人の全部が表れる…仕事、それが家事でもスーパーのレジ打ちでも、たとえばデイトレードでも肉体労働でもなんでもいい。結果を出すとか出さないとか、そういうものでもない。結果なんて運もあるし、そんなものいくらでも変わる。他人なんていくらでも言いくるめることはできるし、ごまかすことだってできる。でも自分には嘘はつけない。自分の人生において仕事というものをどんな風にとらえていて、それに対してどれだけ敬意を払って、そして努力をしているか。あるいはしたか。信頼するのはそんな風に自分の仕事と向き合っている人。そういう人を人としてすきになる。そしてそういう人に向けられたすきという自分の気持ちを、自分は信頼している。だからすきとか愛とか最終的に残るのはそんな風にいつか変質したり単純に消滅したりしてしまうようなものじゃなくて、やはり信頼。』 

 子どもたちに語る一言一言が、本心なのかうわべなのか、子どもたちはすぐに見透かすだろう。そこのところで勝負できる教師でありたいと思う。