オリンピック。子どもの頃はテレビを前にして、目の前で繰り広げられる様々な競技に熱狂しました。日本の選手が勝つと喜び、負けると悔しがりました。今回のオリンピックを見ていて、応援しながら見ているのですが、心の底から熱狂することができずにいます。
日本で開かれているからなのか、コロナ禍で行われいているからなのかはわからないのですが、過去のオリンピックに比べ、日本の選手に国民の期待が大きくかけられているような気がします。「国のため」「日本のため」「応援してくれた人のため」「支えてくれた人のため」・・・。戦った多くの選手の口からそういった言葉が語られます。それを否定するつもりありません。しかし、そういった空気が行き過ぎるとなんか怖いなあと感じてしまいます。
だから、クライミングのボルダリングで戦う選手同士で岩上を眺め、どう登るか相談し合っている姿や、スケボーで選手同士がハイタッチしている姿をみるとなんだかホッとしました。
そして敗れた選手の気持ちを考えてしまいます。
若くして日本代表の中心選手として国民からの期待に応え奮闘した久保選手の涙。男子4×100mリレーでスタートを走った多田選手のうつむく姿と走り寄って背中をたたく桐生選手の姿。彼らのこれからの競技人生を心から応援したいです。
金メダルはもちろんすばらしいものだけれど、共に競技する仲間をリスペクトしたり、挫折や失敗、大きな悔しさと人知れず向き合い、それを自分の人生として受け入れることは、金メダルを取ること以上に人として価値のあることだと思います。
好きな言葉があります。スラムダンクに登場する山王工業堂本監督の言葉です。
「負けたことがある」というのが、いつか大きな財産になる。